平和、安定、人権、そして法の支配に基づく効果的なガバナンスは、持続可能な開発の実現に向けた重要な手段です。私たちは亀裂が深まる世界に暮らしています。平和と安全、繁栄が持続している地域もあれば、紛争と暴力という無限の悪循環に陥っていると見られる地域もあります。これは決して仕方のないことではなく、取り組みが必要な問題です。
激しい武力紛争と情勢不安の高まりは、国の開発に破壊的な影響を及ぼし、経済成長を損なうだけでなく、コミュニティ間にしばしば数世代にも渡る長期的対立をもたらします。紛争のほか、法の支配がない場所では、性暴力、犯罪、搾取、拷問も蔓延しているため、各国は最も大きなリスクにさらされた人々を保護する措置を講じなければなりません。
持続可能な開発目標(SDGs)は、あらゆる形態の暴力を大幅に削減するとともに、政府やコミュニティと協力し、紛争と情勢不安を恒久的に解決することをねらいとしています。法の支配を強化し、人権を推進することは、違法な兵器の流通を削減し、グローバル・ガバナンス機構への開発途上国の参加を強化することとともに、目標実現のプロセスにカギを握る要素となります。
平和と正義の推進は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。
ターゲット | |
---|---|
16.1 | あらゆる場所において、全ての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。 |
16.2 | 子供に対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。 |
16.3 | 国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、全ての人々に司法への平等なアクセスを提供する。 |
16.4 | 2030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。 |
16.5 | あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。 |
16.6 | あらゆるレベルにおいて、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる。 |
16.7 | あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する。 |
16.8 | グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加を拡大・強化する。 |
16.9 | 2030年までに、全ての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する。 |
16.10 | 国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。 |
16.a | 特に開発途上国において、暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関するあらゆるレベルでの能力構築のため、国際協力などを通じて関連国家機関を強化する。 |
16.b | 持続可能な開発のための非差別的な法規及び政策を推進し、実施する。 |
出典:国連開発計画(英語)