「小田原・箱根気候変動ワンチーム宣言」について
令和2年10月27日に、小田原市、箱根町の両首長、両議会議長、両自治会組織、小田原箱根商工会議所の7団体が共同で「小田原・箱根気候変動ワンチーム宣言」を行いました。
令和元年10月に発生した台風19号では、箱根町や本市が被った被害は甚大でした。
気候変動は、「気候危機」と呼ぶべき事態になっており、気候変動がもたらす影響が、だれもが直面する危機であるという認識を持つこと、考えうる防災・減災対策を推進すること、災害は繰り返すという認識を前提にした暮らしや仕事のあり方を考えること、気候変動の進行を抑制するための行動を起こすことが迫られています。
「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」を表明し、「SDGs未来都市」に選定されている本市は、平時から災害時を見据えた取組や、再生可能エネルギーを活用した持続可能な地域社会の実現、企業や次世代に向けたSDGsの普及啓発などを実施しているところです。
今回のワンチーム宣言を通じて、引き続き官民連携をさらに加速させ、経済と環境の好循環をつくりだしていきます。
「小田原・箱根気候変動ワンチーム宣言」全文
気候変動が現実になってきました。酷暑、集中豪雨、頻発する台風など、地球規模で気候が変わってきていることを実感させる現象が身の回りで起きています。なかでも、昨秋の台風で箱根が被った痛手は、想像を超えるものでした。箱根と一体の経済圏・生活圏を成す小田原への影響も甚大でした。この出来事は、気候変動はもはや新聞やTVの中だけの話ではなく、私たちの日々の暮らしに直接的な影響を及ぼす、極めて身近な問題であり、「気候危機」と呼ぶべき事態になっていることを示しています。
気候変動に起因する異常気象は、世界規模での地球環境の変化そのものによって引き起こされるものであり、すでに異常ではなく、常態化し始めていること、つまり、今回のような台風の襲来は何十年とかに一回という不運なことではなく、当たり前のようにまた繰り返すということです。住民、企業、団体、行政などすべての地域の構成員である私たちには、気候変動は決して他人事ではなく今ここにある自分事であるという認識を持ち、考えうる防災・減災対策を着実に推進するとともに、災害は繰り返すということを前提条件として受け入れた暮らしや仕事のあり方も考えていかなくてはなりません。同時に、気候変動の進行そのものを抑制するための具体的な行動を起こすことが迫られています。
さらには、私たちの健康と暮らしと経済に大きな脅威をもたらしている新型コロナウイルス禍も気候変動と切り離して考えるべきではありません。ウイルスの蔓延の誘因として、これまでの人類の経済活動が自然界の生態系へ与えた影響についても検証されるべきでありましょう。
今、このコロナ禍で私たちの周りに起こっていることはコロナがなくとも早晩起こったことであろうことが散見されます。まさに来るべき未来に直面しているのかも知れません。とすれば、もう過去に戻ることは出来ません。来るべき未来、つまり、脱炭素、循環型経済、集中から分散へ、Fun to Share、といったキーワードで語られるべき地域の未来の姿を描くことが大切であり、その重要な視座が気候変動であります。
「SDGs未来都市」「地域循環共生圏づくりの活動団体」「2050年CO2排出実質ゼロ表明都市」である小田原で、環境への取組みを活発化する、世界からの客人をもてなす「環境先進観光地」箱根で、ここに暮らし働く私たちは、気候変動を正しく理解し、何ができるか、何をすべきかを真剣に考え、行動を起こしていくことを挙ってここに宣言いたします。